こしばゆういちのブログ

理系院卒→ハードウェアエンジニア→HR人材開発マネージャー

HRチームのデジタライゼーション意識が向上した3つの理由 (1) - それは、上司の一言から始まった

こんにちは、DHLサプライチェーン株式会社 (DSC) で、Lerning & Development Manager(日本語で言うなら、人材開発担当マネージャー)をさせていただいております、小柴です。DXをテーマに、記事を数個、書かせていただきました。

ドイツポストDHLグループ (DPDHL) では、毎年Employee Opinion Survey (EOS) と呼ばれる、社員意識調査が行われています。DPDHLが掲げるStrategy 2025に基づき作成された質問項目は、我々が目指すDNAの浸透や、エンゲージメント、チームワークなど、その内容は多岐にわたります。全世界にいる55万人以上の従業員に対し、同じ質問項目で一斉に行われます。いわば、社員から会社への通信簿、ですね。

www.dpdhl.com

2022年に行われた調査で、Japan HR Teamは「デジタライゼーション」の項目で、そのポイントを20%と、大きく向上させることができました*1

なぜそんなことができたのか?HRデジタライゼーションの取り組みを半年間リードして振り返ると、大きく3つの理由があるように思います。

  1. 上司たちがアシストしたこと
  2. 小さな成功を祝ったこと
  3. 「覚悟せよ+みんなできるよ」って伝えたこと

3はデジタライゼーションに特化した理由付けのように思いますが、1, 2に関しては、「上司の役目」「モチベーション向上と維持」という、もっともっと大きなことに繋がります。

今回の記事では、1つめの「上司たちがアシストしたこと」について、語ってみようと思います。

(本当は全部1つに書こうと思ったのですが、長くなってしまったので分割することにしました💦)

それは、上司の一言から始まった

きっかけはちょっとしたことでした。

入社して3カ月が経ったくらいだったでしょうか。社内の英語学習プログラムの参加者を募るにあたり、参加したい社員は自身の上司の承認をとる必要がありました。過去、参加希望者は「参加申請書」PDFに必要事項を記入し、上司の電子署名をもらって、HRにメールで送付していました。

「えーっ、そんなの自動化したいぜ!」と思った小柴は、Power Automateの仕組みを使い、申請→上司の承認→管理の流れを自動化したのです。

正直、その時思っていたのは、単に自分の稼働とミスの可能性をできる限り低減したいってこと。これ以上のことは特に考えていませんでしたが、これを「自動化してみましたー」と上司に伝えたところ、

「そんな仕組みが、自分で作れるのはすごい!…あっ、そうだ。Aさんの##っていう業務、膨大な承認行為の管理で大変なんだよね。同じような仕組みが使えるように、サポートしてあげられません?」

と言われ、他の業務の自動化にも乗り出すことにしたのです。

ここで良かったなと思ったのは、「Aさんの業務を自動化してあげて?」ではなくて、「同じ仕組みが使えるように、Aさんをサポートしてあげて?」というアシスト。前者だった場合、完全に私はパンクしていたことでしょう。あくまで、業務の自動化をしたり、考えたりするオーナーは、今までの担当者。私は、新しいテクノロジーを使い、業務が効率化するように、サポートをする役目を上司からお願いされたのです。

最近よく聞く、コーチング的なことをしてたってわけです

最初は週に1回くらいの割合で1Hのサポートをしていましたが、最初の業務自動化を無事終えると、段々とその頻度は減っていきました。その自動化が無事に終わり、めでたしめでたし、になったから?いいえ、違います。業務の自動化を自分で考えてできるようになり、ほかの自動化にも自ら取り組めるようになったからです

そして、いつの間にかHRチームでできたのは、「小柴塾」。Aさんがどうやら自動化したらしいぞ?ということで、他の方も聞きに来るようになり、自分で自動化に取り組み始めました。そして今では、そのAさんも、チームメンバーに「こんなこともできるんじゃないかな?」なんて話をしていると聞きます。

APAC HR Headとの会議でとつぜん振られた話

そしてある日のこと。今度は、私の上司の上司から、APAC HR Headとの会議があって、そこに出席してほしい、と言われたのです。

現状の日本のトレーニングの状況や今後の計画など、会議に臨むためにいろいろな資料作りをして、私の上司の上司(Japan & Korea HR Head)が、私の上司の上司の上司(APAC HR Head)に説明をしている場に出席。そこで私が発言をすることはほぼなかったのですが、最後にその瞬間は訪れました。

今、日本ではDegitalizationを頑張ってる。小柴さん、いる?説明して?

エッΣ(゚□゚;)と思ったのは一瞬、先ほどの小柴塾の話などをお伝えすると、「続けてやってほしい。そして他国にも展開できるようなものがあれば共有してほしい」という言葉をもらい、その会議は終えました。その瞬間、何とも清々しい、「俺、いいことしてんじゃん」感を覚えたのです。

上司は、部下のセールスマン

そんなわけで、HRチームのデジタライゼーション意識が向上した理由の1つめは、「上司たちが良いアシストをしたこと」でした。

でもね、私、ここで取り上げたいのは、デジタライゼーションうんぬんということより、私の上司たちがした、普遍的な素晴らしい行動のことです。部下としての私を、他の人に売り込んだのです。私の上司はほかのチームメンバーに、そして私の上司の上司は、そのまた上に、私を売り込みました。

部下の強みを、チームメンバー間で売り込むと、そのチームはその強みを最大限お互いに使って、最強のチームになることができます。また、チーム外でも社内・社外に「こういう奴がうちにはいるんだ」と部下を売り込むことは、部下の自信向上に繋がり、部下に良い刺激を与えることができます。上司は、部下のセールスマンであるべきです

私が考える究極の形は、部下を売り込んで、他のポジションや、場合によっては他社に送り出すこと。一時の戦力ダウンは避けられないですが、長期的な目線で上司や会社に返ってくるメリットを考えればその効果は何十倍も何百倍もあります。売り込まれた部下は、送ってくれた元上司を絶対にサポートします。そして、いろいろな部署や会社にコネクションがある人の強さは、誰もが知っていることでしょう。

ちょっと大きなことを書いてしまいましたが、私は上司たちの的確なセールスにより、チームのデジタライゼーションを高め、そして私も自信を高めることができたのです。上司にはめっちゃ感謝です!

これでようやく、3つのうちの1つを書きました。なんかよくまとまってなかったらごめんなさい。ほかの2つも、追って書きたいと思います。

*1:EOSでは社員は5段階評価を各項目ごとに行います。ここでいう「ポイント」とは、1が"そう思わない・悪い"、5が"そう思う・良い"とするならば、4と5と回答した社員の割合です