こしばゆういちのブログ

理系院卒→ハードウェアエンジニア→HR人材開発マネージャー

問題解決研修で見えること (2) - ストーリーを語れるか

こんにちは、DHLサプライチェーン株式会社 (DSC) で、Lerning & Development Manager(日本語で言うなら、人材開発担当マネージャー)をさせていただいております。

問題解決をテーマとして扱った研修でおこりがちなこと、第2弾です。前回は、「問題」と「原因」をごちゃまぜにしたことにより起こる風物詩を取り上げました。

yuichi-koshiba.hatenablog.com

今回は、もう少し先のことも見据えたうえで、また異なる風物詩を見ていきましょう。

そわそわするスペシャリスト

問題解決の手法を一通りお伝えし終えたところで、実際にグループワークをやってもらいましょう。職場の問題を洗い出し、根本原因を見つけ出して、解決策まで出してもらいます。

根本原因、解決策のパートになればなるほど、声が大きくなる方々がいます。それは、プロダクトのオーナーや、技術の専門家です。いわゆる、スペシャリストの方々です。

彼らの発言はこうです。

「それは、私たちの●●サービスを使わないのが原因だ。だから××なんていう問題が起きるんだよ」

「なぜ●●技術を使わないのか?そんな問題、簡単に解決できるのに」

もちろん、彼らが言っていることが正解なことは十分にあります。ここで考慮をしたいのは、解決策ありきのストーリーを語っていないか?です。

エレベータートークでストーリーを語る

おさらいですが、問題解決の手順は、

  1. Problem: 問題(現状とあるべき姿のギャップ)を定義する
  2. Root cause: 根本原因を探る
  3. Solution: 解決策を探る

の段階を踏みます。1から3に、順を追って考えていくことが大切。

「問題」の設定は、いろいろとできます。正しい問題の設定、そして取り組むべき優先度の高い問題となっているのでしょうか。

「問題」を1つに決めたら、そこから「根本原因」を探っていきます。いろいろな原因を考えられますが、正確に根本原因をとらえているでしょうか。

「根本原因」として、これだ、と決まった後、「解決策」にも複数の方法があるはずです。選択した解決策は、かかる労力、費用など、総合的に見て、実施に見合うものでしょうか。

このように、1から順番に、樹形図のように広がっていきます。途中で検証に違和感があったら、1つ前に戻って、再度検証すればよいのです。3の解決策(やること)を決めてかかるのは、このストーリーを正反対に語っています。

これを防止するために、私はよくお伝えしているのは、エレベータートークを作ること。社長に、エレベーターに乗ってから降りるまでの数秒で、取り組む問題解決をスムーズに説明できるかを検証します。

私たちは 問題 を解決する必要があります。 あるべき姿 であるべきところ、現状、 現状 となっています。その原因は、 根本原因 です。それを解決すべく、 解決策 をします。

さて、社長に説明してみよう

しっくりこなかったら、再度検証をしてた方がよさそうです。

ここで強調をしておきたいのですが、私はプロダクトや技術のプロの方々を批判しているのでは絶対にありません。お客様が使う素晴らしいサービス・プロダクトを、高い技術を持って送り出す、会社の生命線です。だた、「素晴らしい我々のサービスを、なぜ営業はうまく売り込めないのだ?」ともし思っているようであれば、もしかしたらお客様の抱える「問題」を、正確に捉え切れていない可能性があるということは、少し気にかけたほうが良いのかもしれません。

DHLのFirst Coiceツール

さて、先ほどの問題解決のストーリーですが、DPDHLはこれをPRS (Problem - Root cause - Sokution) 法と呼び、First Coiceというプログラムの1パーツとして取り入れています。

www.dhl.com

First Coiceは、「私たちが継続的改善を行い、お客様のよりよい生活を実現する」という明確な目標を掲げ、私たちのビジネスのHowの部分を定義しています。「1番に選ばれる」と訳すことができるこのツールは、お客様にとって、DPDHLがそうであってほしい、という想いが込められています。

そしてその内容は幅広く、日々のパフォーマンスをチームで話す「パフォーマンス・ダイアログ」、現場で起こっていることを観察する「GEMBAウォーク」など、多種多様。その実施を支えるためのトレーニングやテクノロジーを、DPDHLは持っています。

このように、DPDHLでは日々の問題解決を仕組みとして取り組んでいるのです。